【(初心者向け)簡単なフランス語文法入門・基本の『き』・57 (対象行為文・prendreとavoirについて)】

なるべく難しい文法用語を使わないで、元日本語教師が日本語と比較しながらフランス語を解説していきます!

 

おさらい

 

前回の記事では限定について書きました。

日本語にも、肉だけ、肉しかと複数あるように、フランス語にも

 

  • seulement
  • ne…que

 

の2つがあるということでした。

 

  • Je mange seulement de la viande.(肉だけ食べます)
  • Je ne mange que de la viande.(肉だけ食べます)

 

違いはne…queのほうが多少フォーマルというのがフランス人の認識でした。

neで始まっているけれど、否定文でないのがne…queで注意しなければならないところです。

ちなみに否定文のようにpasを付けると意味が逆になります。

 

  • Je ne mange pas que de la viande. (肉だけ食べるわけではない=野菜も魚も食べるよ)

今回の記事はまた趣向を変えて対象行為文の代表的な動詞を2つ取り上げます。

 

 

トルモツ恐怖体験

 

昨夜はあまり寝付けなく、ベッドの上で寝返りを何度も打っていました。

元々寝つきがよいほうではないのですが、昨日の夜は妙な胸騒ぎがして普通の枕を抱き枕代わりにして精神安定を図っていたのですが、ようやく寝られるかなと思った刹那、枕がベッドから落下。

不安になってベッドから手を伸ばし枕を取ろうとしました。

上半身を垂らすようにい枕を取り体を起こすと、目の前にいたのです。

自身の頭を手に持った何かが。

僕は護身用に木刀を持っているのですが、恐怖のあまりその場から動くことはできず、ただ布団をすっぽりと頭まで被り南無阿弥陀仏。

フランスの幽霊に効くかどうかは不明ですが……。

いずれにせよ、いつのまにかそのまま眠ってしまいました。

 

というように日本語の『取る』と『持つ』の使い分けは、行動的に同じであっても『所有している』という意識の有無によります。

 

さらに、

 

  • ちょっと私の部屋にある赤いカバンを持ってきて~(手にしていることに意識が行っている)
  • ちょっと私の部屋にある赤いカバンを取ってきて~(取る行為に意識が行っている)

 

といういうように、手にした後しばらくも手にしたままなのかという意識の違いもあります。

 

そんなんあたりまえやん、という方もいらっしゃるかと思いますが、日本語を学んでいる外国人は意外とつまずきます。

 

  • 先生、鞄を持ちます、取ります?

 

よく聞かれました。

 

そして『持っています』となると、

 

  • あの赤い鞄を持っている人がターゲットだ。
  • パソコンを1台持っています

 

のように、今手にしているという意味と、自分のものとして所有しているという意味に分かれます。

 

されに、日本語には、

 

  • 田中君彼女がいるからいいなぁ。
  • 佐藤君にはお金がたくさんあってうらやましい。

 

というように、『~(に)は~がある』、『~(に)は~がいる』も所有を表すことができます。

おもしろいことに、ロシア語でも同じように言います。

 

 

フランス語では?

 

フランス語にはavoirprendreがあります。

うれしいことに、基本的なところでは

 

  • avoir=持つ
  • prendre=取る

 

という意味になります。

ちょっと活用がやっかい単語なので先に紹介します。

 

AVOIR

  • J’ai
  • Tu as
  • Il a
  • Nous avons
  • Vous avez
  • Ils ont

 

PRENDRE

  • Je prends
  • Tu prends
  • Il prend
  • Nous prenons
  • Vous prenez
  • Ils prennent

 

むハぁっ、と思わずため息ついてしまう感じですね。

AVOIRの活用は『ぶん・ぶん・ぶん、ハチが飛ぶ♪』のメロディで『エ・ア・ア、アヴォンアヴェオン♪』で覚えるといいかと思います。

PRENDRE同じメロディでいけます。

『プロン・プロン・プロン、プルノンプルネプレン♪』

2つ合わせると、

 

『エ・ア・ア、アヴォンアヴェオン♪お池の周りでなんたらかんたらプロン・プロン・プロン、プルノンプルネプレン♪』

 

という具合でしょうか。

1つのメロディで2つの活用が覚えられてお得ですね。

 

さて、この2つの言葉の意味に関しては1つだけ大きな違いが日本語とフランス語にあります。

フランス語では所有の意識(Avoir)、と『置いてある物を手でつかみ、持ち上げる』(Prendre)が綺麗に分かれているということです。

 

日本語ではさっきのように、

 

  • ちょっと私の部屋にある赤いカバンを持ってきて~。
  • ちょっと私の部屋にある赤いカバンを取ってきて~。

 

と言えますが、この両方のケースではフランス語ではprendreになります。

しかし日本語のように、

 

  • あの赤い鞄を持っている人がターゲットだ。

 

のように所有なのかただ手にしているだけなのかわからないときはavoirが使われます。

 

  • J’ai une bouteille de sake.(わたしは日本酒を1本持っています)
  • Il vient de prendre cette bouteille.(彼はその酒瓶を取ったところです)

 

 

まとめ

 

  • 日本語の持つと取るの意味は所有の有無で基本分かれている。

フランス語も基本的に、

  • avoir(持つ)
  • prendre(取る)

で分かれている。

  • フランス語では置いてあるものに手をかけるときはprendreしか使えない。
  • フランス語も日本語もいわゆる現在進行で持っているときは、所有の有無を無視してavoirが使われる。

 

問題

次の日本語をフランス語で考えてみましょう。

1:わたしはパソコンが一台あります。

2:彼はクレジットカードを1枚持っています。

3:私たちは飛行機を一台所有しています。

4:彼女は赤いカバンを1つ持っています。(探偵になった気分で)

5:太郎は1切れのパンを取ったところです。

(ヒント:un ordinateur, une carte de crédit, un avion, un sac rouge, une tranch de pain)

 

解答例

1 : J’ai un ordinateur.

2 : Il a une carte de crédit.

3 : Nous avons un avion.

4 : Elle a un sac rouge.

5 : Taro vient de prendre une tranch de pain./

 

いかがだったでしょうか?

全然意味ちゃうやん、と一瞬思ってしまう『取る』『持つ』が似ているのは興味深くないですか?

prendreとavoirは沢山熟語があるのですが、詳しい内容は別の機会に。

どうでもいいんですが、夜寝るとき、ベッドから腕や足がはみ出ていると、ベッドの下から怪物が現れてなんかされるような妄想ってしませんか?

僕はよくします。

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