【(初心者向け)簡単なフランス語文法入門・基本の『き』・73 (授受行為文の代名詞)】

なるべく難しい文法用語を使わないで、元日本語教師が日本語と比較しながらフランス語を解説していきます!

 

 

おさらい

 

前回の記事では授受行為文について書きました。

日本語では、

 

  • 『に、へ』あげる
  • 『に、から』もらう
  • くれる

 

 

などと助詞がいっぱいあったり、もらうに似た『くれる』という動詞まであります。

しかしフランス語では、

 

  • 物を渡すときの前置詞 à
  • 物を受け取るときの前置詞 de

 

  • Jiro a donné ce chocolat à Taro.(次郎はそのチョコを太郎にあげた)
  • Taro ai reçu ce chocolat de Jiro.(太郎はそのチョコを次郎から受け取った)

 

という単純なものでした。

また『受け取る』という動詞よりも、『誰が』あげたのかというが先に来やすいというのもありました。

 

Taro ai reçu de chocolat de Jiro.(太郎は次郎からチョコを受け取った)という文よりも、

Jiro donne ce chocolat à Taro.(次郎は太郎にチョコをあげた)というふうに、物の出発点を初めに言いがちということです。

今回はそんなモテモテの太郎さんや次郎さんではなく、代名詞で言いたいときにどうするのかについてです。

 

 

にとにに注意

 

一昨日アパートで寿司パーティーをしました。

僕がちょっと抱えていた論文の問題が終わったので息抜きに作ってルームメイトに振る舞いました。

ついでに日本のお菓子を彼らにあげました。

そしたら翌日、ルームメイトにケーキをもらいました

別のルームメイトからはペルーのお菓子をもらいました。

 

というふうに、前回同様、物があっちへ行ったりこっちへ来たりするときの日本語の助詞『に』。

この助詞の『に』には所有の意味が含まれていて、方向性はむしろ動詞の中に含まれているようです。

 

  • 私は友達ーおかしをあげる。(あげる:私→友達(所有権は友達に移る))
  • 私は友達ーおかしをもらう。(もらう:私←友達(所有権は私に移る))

 

方向性を強調したいときは、助詞『へ』や『から』を使います。

 

  • 私は友達手紙を送る。
  • 私は友達から鍵を受け取る。

 

 

フランス語では?

 

今回はこの物が相手に移る場合に人称代名詞を使うとどうなるかです。

 

ついでに新しい動詞を1つ紹介。

 

  1. 送る envoyer

 

不規則動詞です。

 

ENVOYER

  1. J’envoie
  2. Tu envoies
  3. Il envoie
  4. Nous envoyons
  5. Nous envoyez
  6. Ils envoient

 

  • J’envoie une lettre à Taro.(私は太郎に手紙を一通送った)

 

前回も書きましたが、フランス語で『もらう』と言いたいときは、『誰に』もらったの『誰に』を主語にしなければなりません。

 

  • Taro a donné ce chocolat à mon enfant. (子供が太郎チョコをもらった=太郎が子どもにチョコをくれた=太郎は子どもにチョコをあげた

 

このときの太郎にチョコをもらったの助詞『に』は結局『へ』と同じ意味になっているので、フランス語ではàが使われています。

このように物が『こちらから相手へ移動する』場合、その相手を代名詞にしたものが間接目的語人称代名詞と呼ばれるものです。

 

私はこれを(直接目的語)あれへ(間接目的語)あげる。

 

関節目的語人称代名詞

  • me(私へ)
  • te(君へ)
  • lui(彼へ)
  • lui(彼女へ)
  • nous(私たちへ)
  • vous(貴方たちへ・あなたへ)
  • leur(彼らへ)
  • leur(彼女らへ)

 

luiとleur以外は直接目的語人称代名詞と同じです。

代名詞は動詞の前に来ます。

 

  • Je lui donne ce chocolat. (私は彼(彼女)にこのチョコをあげます)
  • Elle m’a donné ce chocolat. (彼女は私にこのチョコをくれた=私はこのチョコを彼女から(に)もらった)

 

luiとleurは男女兼用なので、女性なのか男性なのかは別のところで判断しなければなりません。

 

 

全部人称代名詞にしたいときはどうするの?

 

直接目的語の人称代名詞は、

 

  • me(わたしを)
  • te(君を)
  • le(彼を・男性名詞のこれを)
  • la(彼女を・女性名詞のこれを)
  • nous(私たちを)
  • vous(貴方たちを・あなたを)
  • les(彼らを・彼女らを・複数名詞のこれを)

 

でした。

直接と間接目的語人称代名詞を使いたいとき、日本語では強調したいものを先にもってくるのですが、フランス語では順番がはっきり決まっています。

 

(me, te, nous, vous) – (le, la, les) – (lui, leur)

 

が順番になります。

直接と間接の1人称と2人称がまず来て、その次に直接の3人称、そして最後に間接の3人称

ひとまず3人称は後!と覚えておきましょう!

 

まあ頑固おやじのように『お前に娘はやらん!』と言うようなことはあまり今はないと思うので、女性名詞の車をlaとした場合を見ていましょう。

 

  • Taro me la donne.(太郎が私にそれをくれる)
  • Taro la lui donne.(太郎が彼・彼女にそれをあげる)
  • Taro les lui donne. (太郎がそれらを彼・彼女にあげる)

 

そして忘れちゃいけないのが、直接目的語代名詞と過去形の合体したときの性と数の一致

 

  • Taro me l’a donnée.(太郎がそれを私にくれた)
  • Taro la lui a donnée.(太郎はそれを彼・彼女にあげた)
  • Taro me les données.(太郎がそれらを私にくれた)
  • Taro les lui a données. (太郎はそれらを彼・彼女にあげた)

 

 

まとめ

 

  • 日本語では、あげる、もらう、も助詞『に』をとってしまうので、あげるは『へ』、もらうは『から』と分けておく。
  • フランス語では、あげる+『へ』のセットが、あげるときももらうときも使われる。
  • 『ヘ』+人称代名詞は間接目的語人称代名詞と呼ばれる。
  • 間接目的語と直接目的語を一緒に使いたいときは、三人称、特に三人称の間接目的語は一番最後!

 

問題

次の日本語をフランス語で考えてみましょう。

1:私は君にこの車をあげる。

2:彼女は私にこの車をくれた。

3:あなたは彼にこの車をあげた。

4:彼はこの車を彼女たちにあげた。

5:彼女たちは彼らにそれら(複数の手紙)を送った。

 

 

解答例

1 : Je te donne cette voiture.

2 : Elle me donne cette voiture.

3 : Vous lui avez donné cette voiture.

4 : Il leur a donné cette voiture

5 :Elle les leur a envoyées.

 

どうでしたでしょうか。

個人的にはあまり代名詞を2つ入れたのは見たり聞いたりしたことはありません。

日本語でもそうですが、アレをあの人にああしといて、なんて言われたら、は?ってなりますしね。

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