【(初心者向け)簡単なフランス語文法入門・基本の『き』・61 (対象行為文・connaîtreとsavoirについて)】
なるべく難しい文法用語を使わないで、元日本語教師が日本語と比較しながらフランス語を解説していきます!
おさらい
前回の記事では『会う』とvoirについて書きました。
日本語では、『と会う』と『に会う』で意味が違っていました。
『と会う』は、会う相手と話してが両方目的の場所に向かい、そこで会うというような意識。
『に会う』は、会う相手は動いていない。もしくは話し手に会う目的があるという意識。
フランス語voirは関係なく使える。
そして目的語をとる動詞であるので、前置詞なしに、
- Je vois Jiro. (次郎に会う)
という文の形になります。
更に、voirには『見える』という意味もあるので、regarder『見る』との違いにも気を付けなければなりませんでした。
勝手に目に入ってくるときはvoir。
見ている意識があるときはregarder。
- Je le vois. (それが見えます)
- Je regarde la télévision.(テレビを見ます)
今回はvoirとregarderのように、意味が似ているけど違う単語についてです。
不思議な単語?
今朝ネットニュースを見ていたら、ヨーロッパの中ではニースが1年でもっとも日照時間が長いという記事がありました。
僕は知りませんでした。
もっと南ヨーロッパのほうが太陽燦燦してるんじゃないの、と。
みなさんは知っていましたか?
知っているといえば、そんなニースの海は青いんですが、実際泳いでみると青すぎて何も見えないのです。
いいえ、僕があまり泳ぎ方を知らないからではありません。
ちょっと隣の町へ行くとビーチから海底が見えますから。
紺碧海岸からイメージしていた透き通った青い海……。
現地にいるからこそ知ることができることは多いですね!
というように、日本語の『知る』という単語は、ちょっと不思議です。
食べます。
飲みます。
寝ます。
のように、
知ります。
と使うことはほぼありません。
日本語を学んでいる学生はよく間違えます。
- わたしは山田さんを知っています。
と言いたいけれど、
- わたしは山田さんを知ります。
となってしまうのです。
小説や漫画で、未来の視点から過去を語りつつ、その過去から未来のできごとを語るときに使われるのですが、当然留学生はそんなことを言いたいわけではありません。
さらに混乱を招くのが否定形。
- 田中さんを知っています。
が、
- 田中さんを知っていません。
になってしまうのです。
いわゆる知っている状態のときは、『知っている』と『ている』が使われるのに、否定するときは『知る』の否定『知らない』が使われてズレが生じているのですね。
つまるところ、『知る』という行為が日本語では未来に属してしまっているのでないでしょうか。
ある瞬間に『知り』、『知った』ことになり、それ以降は『知っている』となる。
現在の『知っている』状態を否定するためには、一番初めの『知る』状態を否定して『知らない』にするしかないのです。
また、
- 泳ぎ方を知らない。
- 泳ぎ方を知っている。
のように、能力があるかどうかについても言うことができます。
フランス語では?
フランス語にはconnaîtreとsavoirという2つの単語があります。
2つとも不規則動詞なのでまずは活用をば。
CONNAÎTRE
- Je connais
- Tu connais
- Il connaît
- Nous connaissons
- Vous connaissez
- Ils connaissent
基本的にはi以降が変わっているわけですが、il のときだけは原形と同じくiがîになっています。
Nous、Vous、 Ilsに関しては前後のnとsが両方ともaiを中心にダブルになっています。
nnaiss……錯視がおきそうです!
SAVOIR
- Je sais
- Tu sais
- Il sait
- Nous savons
- Vous savez
- Il savent
Savoirに関しては覚え唄が。
せっせっせーのよいよいよい、のメロディーに合わせて、『セッセッセのサヴォンサヴェサーヴ』です。
二つの言葉の違いは知っている認識度の違い。
見たり聞いたり読んだりしたような程度の『知っている』はconnaître。
connaîtreのレベルを超えてノウハウ的な『知っている』はsavoir。
さて使い方ですが、大事なことが1つ。
日本語では『知っている』とあたかも『食べている』のような現在進行形なのですが、フランス語ではそのまま現在の形で使います。
- Je connais les tables de multiplication.(九九があるってのは知っている)
- Je sais les tables de multiplication.(九九は知っているし掛け算もできる知識があります)
そしてこの2つ目の例文のように、実力があって『~することができる』という場合にsavoirが使えます。
その場合、
savoir+動詞の原形
という形になります。
- Je sais faire du ski. (私はスキーができます)
他の回でも言及する予定ですが、savoirの後ろには動詞も文も繋げることができるということを覚えておくと迷ったときによいです。
まとめ
日本語の『知る』の原形を使うときは限定されており、『知っている』が現在の状態を表す。
日本語では1つの言葉で事足りるが、フランス語では、
- connaître(簡単な認識)
- savoir(ノウハウや前後時間を含めた深い認識)
で分かれている。
また、泳ぎ方を知っている、のようにフランス語でも『知っている』で能力について言うことができます。
その場合はsavoirが使われ、
savoir + 動詞の原形
のような文の形になる。
問題
次の日本語をフランス語で考えてみましょう。
1:彼は太郎を知っています。
2:私たちは次郎を知っています。
3:あなたはこの犬を知っています。
4:彼女たちは彼らを知っています。
5:彼らはスキーができます。
解答例
↓
↓
↓
↓
↓
1 : Il connaît Taro.
2 : Nous connaissons Jiro.
3 : Vous connaissez ce chien.
4 : Elles les connaissent.
5 : Ils savent faire du ski.
いかがだったでしょうか。
日本語では1つの単語で済むけれど、なんか時制が変。
フランス語では時制は単純だけど、1つの単語じゃ済まない。
『知る』もなかなか一筋縄じゃいけないと知ることができましたでしょうか?
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