【(初心者向け)簡単なフランス語文法入門・基本の『き』・72 (授受行為文)】
なるべく難しい文法用語を使わないで、元日本語教師が日本語と比較しながらフランス語を解説していきます!
おさらい
これまで、
- 繋辞文(~は~です): Je suis japonais.(私は日本人です)
- 存在文(~がいる・ある):Il y a une lettre.(手紙がある) Je suis en France.(私はフランスにいる)
- 単独行為文(わたしは~する:必須登場人物1つ)Je dors.(私は寝る)
- 対象行為文(わたしは~を~する:必須登場人物2つ): Je mange ton chocolat.(私は君のチョコレートを食べる)
について書いてきました。
今回からは、必須登場人物が3つになる文についてです。
※登場『人物』と書いてありますが、物など人以外も含みます。
これを言うには、最低この必須要素の数が必要、というような意味です。
あげてもらってくれた
かれこれ30歳を越えて数年、僕は今は誕生日を祝ったりしないし、周りに伝えることもしませんが、昔は友達や元カノからプレゼントをもらったりもしていました。
でも他人の誕生日を祝うことは好きなので、実際に会えなくても友達にメッセージを送ることもあります。
誕生日の人にプレゼントを渡すときはやはりサプライズを狙います。
そういうことをするのは楽しみなのですが、最近は論文執筆にかまけてあまりしていません。
図書館に必要な本を借りに行くのも億劫な感じでうちにいたりします(日本のように、図書館間で移送してもらえないので、遠いとこの図書館へ行くのにはカード登録なども含めて半日かかります)。
でもようやく昨日、教授へ3章まで書いた論文を渡すことができました。
とこのように、日本語で物を介して誰かやどこかに物が移動することができます。
こういう文は、
- 誰が
- 何を
- 誰に
する。
と3つの登場人物(要素)が必須になっています。
日本語では物の移動先を助詞の『に』や『へ』や『から』で表します。
- 私は友達におかしをあげた。
- 私は友達へおかしをあげた。←?
- 私は友達に鍵を渡した。
- 私は友達へ鍵を渡した。
あげたおかしは友達のものになります。
こういう所有の意識が強いものには『に』が使われ、そうでない場合は『へ』が使われているようです(渡した鍵は誰のものかわからない)。
そして、
- 私は友達におかしをもらった。
- 私は友達からおかしをもらった。
これも同じです。
『に』のほうが、受け取ったおかしは『わたしのもの』という意識が強いです。
さらなる違いは、相手を非生物にすると見えてきます。
- わたしは会社に書類を受け取った。←?
- わたしは会社から書類を受け取った。
もらったり、受け取ったりするとき、非生物のときは助詞は『から』のほうがしっくりきます。
『に』が所有を意味するとうのは、
- わたしはお金があります。
という文は、
- わたしにはお金があります。
と言い換えられることからもわかります。
そして日本語には別に、
- バレンタインに彼がネックレスをくれた。
というように『くれます』という動詞にすでに『私に(所有)』という意味が含まれていて、あえて『誰に』とはっきり言わなくても意味がわかるものもあります。
また自分サイドの人間という意味で、
- 近所のおばあちゃんが息子におかしをくれた。
と言うこともできます。
この文を発言した人が、『息子』を自分サイドと思っているから言えることです。
『息子』でなくても、友だちでも、他にも日本とかそういう抽象的な言葉でも大丈夫です。
フランス語では?
フランス語では、
- à(へ)
- de(から)
というシンプルな前置詞で表せます。
でも、まだ動詞を紹介していませんでした。
今回はこの3つ。
- あげる donner
- 渡す passer
- 受け取る recevoir
覚えておきたい名詞はこちら。
- プレゼント le cadeau
- 本 le livre
- おもちゃ le jouet
Recevoirは不規則動詞なのでまずは活用を。
Recevoir
- Je reçois
- Tu reçois
- Il reçoit
- Nous recevons
- Vous recevez
- Ils reçoivent
(過去分詞はreçu)
- Taro donne ce cadeau à Jiro.(太郎はこのプレゼントを次郎にあげます)
- Jiro reçoit ce cadeau de Taro.(次郎はこのプレゼントを太郎から受け取ります)
……?
受け取る?
もらいますじゃないの?
passerとrecevoirは一対。
所有の意識が薄い物の行き来。
- Taro passe ce livre à Jiro.(太郎は次郎にその本を渡す)
- Jiro reçoit ce livre de Taro.(次郎は太郎からその本を受け取る)
もらうくれるは?
ではどうすればいいのかというと、主語を変えるだけです。
- Jiro reçoit ce jouet de Taro.(次郎はこのおもちゃを太郎から受け取ります)
- Taro donne ce jouet à Jiro. (太郎はこのおもちゃを次郎にあげます=次郎は太郎にこのおもちゃをもらいます=太郎は次郎におもちゃをくれます)
発想の転換というやつなんでしょうか。
もしくは、『誰が』何をした、ということが重要なフランス語などそれらの言語の影響なのかもしれません。
まとめ
- 必須要素が3つの文がある。
誰が(主語)、何を(直接目的語)、誰に(移動先=間接目的語)、する。
日本語では助詞『に、へ、から』で意味が分かれる。
フランス語では前置詞
- à(へ)
- de(から)
で移動先や元を表す。
問題
次の日本語をフランス語で考えてみましょう。
1:太郎は次郎にその鉛筆を渡した。
2:次郎は太郎からその鉛筆を受け取った。
3:次郎はその鉛筆を三郎にあげた。
4:次郎が三郎にその鉛筆をくれた。
5:三郎は次郎からその鉛筆をもらった。
解答例
↓
↓
↓
↓
↓
1 : Taro a passe ce crayon à Jiro.
2 :Jiro a reçu ce crayon de Taro.
3 : Jiro a donné ce crayon à Saburo.
4 : Jiro a donné ce crayon à Saburo.
5 :Jiro a donné ce crayon à Saburo.
どうでしたでしょうか。
最後の三問はちょっとしたいたずら問題ですよね。
この、あげる、もらう、くれるは、日本語を学ぶ外国人がかなり混乱するところです。
逆に日本人視点からだと、フランス語や英語はシンプルで学びやすくありませんか?
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