【(初心者向け)簡単なフランス語文法入門・基本の『き』・68 (複合過去・一発過去について)】
なるべく難しい文法用語を使わないで、元日本語教師が日本語と比較しながらフランス語を解説していきます!
おさらい
前回の記事では過去形の中でも、半過去についてでした。
半過去とは過去は過去でも継続しているイメージの過去でした。
作り方は、
現在形1人称複数の語尾を取り外し、ais, ais, ait, ions, iez, aientを代わりに取り付けます。
REGARDER
Nous regard-ons
- Je regardais
- Tu regardais
- Il regardait
- Nous regardions
- Vous regardiez
- Ils regardaient
- Je regardais la télévision.(私はテレビを見ていました)
活用に関しては、gerで終わる動詞、être, falloirは注意が必要でした。
ÊtreはNous sommeだけれどétが使われます。
ÊTRE
- J’étais
- Tu étais
- Il était
- Nous étions
- Vous étiez
- Ils étaient
falloirの半過去は
- Il fallait
1つになります。
gerで終わる動詞は、Nousとvousはe無し、それ以外はeありと、現在形とは逆の法則は働いています。
VOYAGER
Nous voyag-eons
- Je voyageais
- Tu voyageais
- Il voyageait
- Nous voyagions
- Vous voyagiez
- Ils voyageaient
一発屋
今回の記事では、一発過去と勝手に名付けた過去についてです。
友だちがいた、ラーメンを食べていた、という一定期間その状態が続いている過去とは違う過去。
例えば、
- 飛行機が成田に着いた。
- 家政婦は見た。
こういう過去です。
日本語だと、『た形』と呼ばれて『た』で終わる動詞や形容詞の形になります。
この形容詞の過去形というのは、日本語を学ぶ外国人の悩みの種だったりします。
- 便利です→便利でした
- 赤いです→赤いでした
違います。
赤かった、です。
と何度直したことか……。
フランス語では?
フランス語ではこのような一発過去をavoirやêtreと過去分詞というものを使って表します。
- 主語+avoir+過去分詞
- 主語+être+過去分詞(主語の性別・数と一致)
過去分詞は動詞の形を変えたものの1つです。
作り方は、
- erで終わる動詞はerをéに
- irで終わる動詞はirをiに
aller→allé
dormir→dormi
いつも通り例外もあります。
これまで紹介してきた動詞の中では、
- 来る venir→ venu
- 要る falloir→ fallu
- 飲む boire→ bu
- ある avoir→ eu
- 会う voir→ vu
- 知る connaiître→ connu
- 知る savoir→ su
- 欲しい vouloir→ voulu
- 取る prendre→ pri
- する faire→ fait
- である étre→ été
となります。
- J’ai mangé ton chocolat. (君のチョコレートを食べました)
- J’ai bu du sake. (お酒を飲みました)
そして気になるのは、どうしてêtreとavoirの2つあるのかということだと思います。
実は移動や状態が変わるような動詞の場合は、êtreが使われます。
- Il est allé au Japon. (彼は日本へ行きました)
そしてêtreが使われる過去形の過去分詞は、主語の性や数に一致します。
一致の仕方は、
- 女性:e
- 複数:s
を付けるだけです。
もちろんこのふたつのコンビネーションも可能です。
名詞の性だけでなく、実際の主語の性別にも適応されます。
- Elle est allée au Japon.(彼女は日本へ行きました)
- Ils sont allés au Japon.(彼らは日本へ行きました)
- Elles sont allées au Japon.(彼女らは日本へ行きました)
- Je suis allé au Japon.(私(男)は日本へ行きました)
- Je suis allée au Japon.(私(女)は日本へ行きました)
- La poisson est allée au Japon. (魚(女性名詞)は日本へ行きました)
allerやvenir以外では、
arrive 到着する
entrer 入る
descendre 降りる
monter 登る
partir 出発する
rentrer 返る
rester とどまる
retourner 戻る
sortir でかける
tomber 落ちる
devenir なる
mourir 死ぬ
naître 生まれる
などがこのパターンになります。
初めは一個ずつ覚えるというより、すべてに共通する『移動・変化』というイメージでふんわりと覚えておくとよいのかと思います。
そしてもう1つ。
se lever(起きる)のように動詞とse(代名詞)がセットになっているような代名動詞の場合にもêtreが使われます。
SE LEVER
Nous nous lev-ons
- Je me suis levé
- Tu t’es levé
- Il s’est levé
- Nous nous sommes levés
- Vous vous êtes levés
- Ils se sont levés
このようにavoirやêtreと過去分詞の2つで作るような過去形のことを、複合過去と呼びます。
人称代名詞や否定はどこへ?
複合過去のときは、avoirとêtreの前後に人称代名詞の直接目的語や否定が来ます。
- Je l’ai mangé.(わたしはそれを食べました)
- Je ne l’ai pas mangé.(わたしはそれを食べていません)
そして超重要なことがひとつ。
人称代名詞の直接目的語が使われるとき、avoir文でも性・数の一致が起きます。
Je l’ai mangé.(食べたものは男性名詞)
Je l’ai mangée.(食べたものは女性名詞)
Je les ai mangé.(食べたものは男性名詞で複数)
Je les ai mangées.(食べたものは女性名詞で複数)
まとめ
フランス語の一発過去は2種類に分かれる。
- avoir+過去分詞
- être+過去分詞(主語に性数一致)
人称代名詞の直接目的語や否定はavoirやêtreの前後に置かれる。
問題
次の日本語をフランス語で考えてみましょう。
1:彼は昨日日本へ来ました。
2:彼女たちは昨日フランスへ来ました。
3:私は今朝6時に起きました。
4 :彼は昨日私に会いました。
5:彼は昨日彼女に会いませんでした。
解答例
↓
↓
↓
↓
↓
1 : Il est venu au Japon hier.
2 : Elle venue en France hier.
3 : Je me suis levé à 6 heures ce matin.
4 :Il m’a vu hier.
5 :Il ne l’a pas vue hier.
いかがだったでしょうか?
いつも思うのですが、フランス語のêtreを使った複合過去で過去分詞が性にも一致してしまうということは、性同一性障害でる人にはきっついのかなと。
例えば僕が実は自分は女だと自覚しているけどカミングアウトしていないのに、Jeで始まってêtreを使う複合過去を書きたいとき、過去分詞にeを付けたいけれど付け足せないジレンマ、のようなのがあるのでしょうか。
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