【フランスでルームシェア生活メリットデメリット・赤裸々公開21(ルームメイトの親が登場し訴えると言われた件に関して)】
トイレの後に手を洗うことを拒絶宣言し、ルームメイトをバカと呼んだJさん。その後関係は回復することなく……。
大家さんへの手紙
第二回トイレのあとは手を洗ってくれ交渉が決裂し、Jさんは僕やDさん、Mさんに対してあからさまな敵意を向けるようになりました。
- アパート内で僕らを見かければ目を剥き、鼻息を荒げ、顔は真っ赤。
- レンジの扉を閉めるときはレンジ本体が動く勢いで。
- 異臭対策として開けられているキッチンの窓を閉めるときは何事かを叫びながらアパート全体が揺れる勢いで。
Jさんはトイレの後に手を洗わないだけではなく、中でスマホを使っているようで1度入ると20分は出てこないという問題もありました。
トイレには窓がついていて便臭対策として基本開けっ放しになっています。
その窓をJさんはいつも閉めてしまいます。
なのでJさんが20分占領したあとは大変なにおいになってキッチン、果ては各部屋まで臭いが侵入してきます。
20分間流さないままなので当然でしょうか。
しかしこの臭いは生物としては仕方ないのでそれまで黙っていたのですが、一度壊れてしまった関係ではすべてが鼻に付くもの。
特にトイレ横の部屋であるMさんがもう我慢できないとお怒りに。
かといってJさんは交渉決裂から僕たちの話に耳を貸そうともしません。
最終手段として大家さんにメールを書くことになりました。
基本僕がフランス語で書き、Dさんが確認してドイツ語でMさんに訳し、3人共同署名の上に大家さんに送りました。
大家さんの返事は、一度大家さんがJさんと話してみるが、Jさんとの賃貸契約は5月までなのでそれまでなんとか仲良くしてほしいというものでした。
母親襲来
そんな返事をもらったあるニース晴れの素晴らしい週末の午後。
アパートのチャイムが鳴りました。
そうして現れたのがJさんの母親とその友人でした。
- 大家さんから僕たちが書いたメールを転送してもらったから話すために来た。
部屋で試験勉強をしていた僕とMさんとDさんは、顔を合わせて面倒くさいことになったなぁと苦い顔。
Jさんの母親の話し方は一方的でした。
ただ一方的に顔を紅潮させ、文字通り唾を飛ばす距離で話してきます。
彼女の主張としては、
- 娘はうちではシャワーを浴びている。僕たちが気づかないときに浴びているんじゃないのか。
- トイレの後の手洗いだってうちでは洗っているのを見たことがある。僕たちの勘違いじゃないのか。
- 娘はまだ18歳で若いのだから、年上である僕たちが多少は目をつぶるべきだ。
- 大家さんに言うとはどういうことだ。娘をアパートから追い出したいのか。かわいそうじゃないか。
僕たちは、
- トイレのあとに手を洗っていないことは本人から言質を取ってある。
- いつも誰かしらアパートにおり音も聞こえてしまうので、シャワーを浴びていないのは明白。異臭もする。
- トイレの後手を洗わないことやシャワーを浴びないことと年齢は関係ない、特に18歳ならなおさら。
- 大家さんにメールしたのはJさんが自ら僕たちと話すこと拒否すると宣言したからである。
- 出て行ってほしいとは全く思っていない。
- 僕たちはただJさんにトイレの後、手を洗ってから共有の食器をさわってほしいと考えているだけだ。
と伝えました。
するとJさんのお母さんは激昂し、
- 娘はまだ若いんだ。年上が多めに見なければならない。
- そんなに娘をいじめるなら裁判に訴えてやる。
と僕たちの主張にはまったく答えず脅し始めました。
この親にしてこの娘ありだな、というのが僕の感想でした。
ちょっとJさんに同情したくらいです。
というか、なんでトイレの後に手を洗ってとお願いしただけで訴えるという思考にいたるんだ。
しかも当の本人のJさんがいないし。
いやでも、フランス人ならやりかねんのか?
それともこれが母の愛というものなんでしょうか(僕は母親がいないので知りませんが)。
実はJさん実家はお父さんもお母さんも獣医さんでお金持ちです。
しかし昔働いていたとはいえ今や学生の身分の僕や、DさんやMさんはそんな馬鹿馬鹿しい裁判などになったらたまったものじゃありません。
弁護士費用もバカにならないし、言語の壁的に通訳とかも雇ったら大変なことに。
- 確かにわたしたちもJさんに言い過ぎたかもしれません。
Dさんが折れました。
僕たちの顔色を悟ったのか、Jさんのお母さんは続けます。
- 娘はまだ若いんだ。
- 年上のあなたたちが寛容になりなさい。
- 私は忙しいんだから、もう帰る。
そう言ってJさんのお母さんとその友達は去っていきました。
ドアが閉まって僕たち3人は顔を見合わせ、これだねとこめかみを伸ばした人差し指でぐりぐりしました。
フランス語があまり分からずもそこにいたMさんは、Dさんにドイツ語で説明を受けた後で、
- まじ信じられない!なにあれ!?
的なことを英語で言い、理解不能なご様子。
とりあえず僕らは今後のことを話し合いました。
結果として、翌日夜に実家から戻ってきたJさんに、前は言い過ぎたと告げ、
その後は完全Jさんに関わらないことにしました。
やっと解放
幸いなことに、Jさんの専門学校は春休みまであるようで、母親襲来数週間後にはまた実家に戻っていきました。
そして再度戻ってきて約2週間の滞在の後、彼女の契約が終了し、引っ越していきました。
引越しの日は大家さんに事前に聞いていたのですが、僕もMさんもDさんもあえてアパートを留守にしました。
なのでその後のJさんの消息は不明です。
ひとまずJさんが消えた日の夜、僕とMさんとDさんはキッチンでほっと息をついていました。
そんなDさんやMさんが去る日もやってきました。
ある意味一番大変な時期を経験した戦友。
って、まあ僕は彼女たちの退去時期は英国にいたんですが、ニースに戻ってきたら冷蔵庫に手紙付きでヌガーがおいてありました。
- 色々大変だったけれどおもしろかった、ダンケシェーン。
的なことが書いてありました。
以上、長かった戦いが終わった編でした。
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