【(初心者向け)簡単なフランス語文法入門・基本の『き』・85 (引用文を使った間接話法の過去形について)】
日本語をおさえてからフランス語を学べば理解度も増すはず。
引用文間接話法の過去形についてです。
おさらい
前回の記事ではpenser(思う・考える)という行為も、口を使って表現はしないけれど、考えたことを考える行為で引用しているということを説明しました。
引用文なので、direやdemanderと同じように、普通の文を引用するならque、疑問文を引用するなら疑問文を挿入するというものでした。
直接話法でもdireやdemanderと同じように、: « — »が使えるということも書きました。
- Je pense qu’il vient.(彼は来ると思う)
- Je pense s’il vient.(彼は来るだろうかと思う)
- Je pense quand il vient.(彼がいつ来るかと思う)
- Je pense : «Il vient.» (彼は来ると思う・考える)
疑問文を直接話法で引用するときは、
- Je me demande : « Il vient quand? »(「彼はいつ来るのか」と自らに問う)
となります(走れメロスみたいですね)。
また、前未来という時間の表現についても書きました。
前未来とは、先の時間内で完了しているだろう行為について述べたいときに使うものです。
- 来月末には金は返しているはずです。(来月末という時間に関連して、返済完了済みに意識がいっている)
- 来月末には金は返せるはずです。(来月末という時間に関連して、返すことができるという状態を述べているだけ)
フランス語では、
avoirかêtreの未来形+過去分詞
でそれを表します。
- J’aurai rendu de l’argent dans un mois. (一か月後にはお金は返しているはず)
というわけで引用文を過去形にしてみましょう
前未来を言えるようになって、ようやく準備がほぼ揃いました。
いよいよ引用文の過去形についてです。
日本語だと、
- 「それ食べます」と彼は言う。
- 「それ食べます」と彼は言った。
- それを食べると彼は言う。
- それを食べると彼は言った。
『言う』の部分が現在形でも過去形でも直接話法・間接話法ともに『それを食べる』の部分に変化はありません。
- 「それ食べました」と彼は言う。
- 「それ食べました」と彼は言った。
- それを食べたと彼は言う。
- それを食べたと彼は言った。
引用ヵ所を過去形にしても、いつも同じです。
フランス語では?
フランス語ではそうはいきません。
『言う』という表現行為が過去に行われたものなら、引用されていることは更に過去に行われている。
というような意識が働きます。
ざっくり言うと、過去の過去にされた言葉の引用はきちんと過去の過去として書かないとね!ということです。
- 元彼とは別れたと言ったじゃない!
というような話はたまに聞きます。
彼氏が彼女に言うようなパターンですね。
こういう場合、彼氏は彼女に
- 「今付き合っている人いるの?」
と聞き、いないと言われたからアプローチをしているものです。
しかし、この彼女が「今付き合っている人はいない。彼氏とは1か月前に別れちゃった」と言っていた場合、『彼氏と別れた』のはいつでしょうか?
そう。
今の彼氏が
- 「今付き合っている人いるの?」
と尋ねる前のことです。
この時差を間接話法を使う時にフランス語では気にします。
わかりやすいように、直接話法と間接話法と交互に書きます。
- Il a dit : « Je mange ça. » (彼は「私はこれを食べる」と言った)
- Il a dit qu’il mangeais ça. (彼はこれを食べると言った)
日本語では同じ『食べる』が使われているのに、フランス語では現在形→半過去が使われています。
- もっと過去:「それを食べる」→過去:彼は言った。→今
というわけで、フランス語では過去の過去へと引用された文も動きます。
過去から未来にフランス語の時間を並べてみると、
大過去→複合過去→半過去→現在→前未来/単純未来
となります。
前未来と単純未来が同じようなポジッションにあるのは、未来の時間における完了と始まりは見方の違いだということでしょうか。
来月には借金を返している、というのは来月末から無借金の状態が始まると同じ意味です。
大過去?
まだ書いていませんでした。
複合過去よりさらに過去のことです。
作り方は、
avoirかêtreの半過去形+過去分詞
です。
avoirとêtreの半過去形は、
AVOIR
- J’avais
- Tu avais
- Il avait
- Nous avions
- Vous aviez
- Ils avaient
ÊTRE
- J’étais
- Tu étais
- Il était
- Nous étions
- Vous étiez
- Ils étaient
もう一度作り方をざっくりまとめたのを含めると、
大過去(avoir/êtreの半過去+過去分詞)→複合過去(avoir/être+過去分詞)→半過去(-ais, -ais, -ait…)→現在→前未来(avoir/êtreの未来形+過去分詞)/単純未来(-rai, -ras…)
のようになります。
この矢印を反対にすれば、過去の発言行為の過去に行われた引用になるわけです。
と言いたいのですが、未来に関してはちょっとトリッキーなことが起こります。
あとで書きます。
発言行為が過去の場合、引用文は……
- 半過去←現在
- 半過去←半過去
- 大過去←複合過去
- Il a dit : « Je mange (mangeais) ça.
- Il a dit qu’il mangeait ça.
※半過去は過去の過去に行っても半過去のまま
- Il a dit : « J’ai mangé ça. »
- Il a dit qu’il avait mangé ça.
そして未来に関して。
- 条件法過去←前未来
- 条件法現在←単純未来
条件法、以前vouloir(欲しい・欲する)のときに紹介しました。
仮定をあらわすものです。
作り方は、
未来形の語尾r+半過去形の語尾
です。
mangerならmangerai(未来形)→mangerais(条件法)。
その条件法の過去は、
avoirかêtreの条件法+過去分詞
になります。
Avoirとêtreの条件法は、
AVOIR
- J’aurais
- Tu aurais
- Il aurait
- Nous aurions
- Vous auriez
- Ils auraient
ÊTRE
- Je serais
- Tu serais
- Il serait
- Nous serions
- Vous seriez
- Ils seraient
これを使って過去の過去の引用文を書いてみましょう。
- 条件法過去←前未来
- 条件法現在←単純未来
- Il a dit : « J’aura mangé ça. »
- Il a dit qu’il aurait mangé ça.
- Il a dit : « Je mangerai ça. »
- Il a dit qu’il mangerait ça.
こういう過去の過去へ移動するという現象は、demanderやpenserを使ったりしても同じです。
おつかれさまでした!
まとめ
日本語は引用発言行為が過去になっても、引用された文に影響はない。
フランス語では、引用発言行為が過去になると、引用文は過去の過去へさかのぼる。
しかし未来について話している内容の引用は条件法へと変化する。
問題
次の日本語をフランス語の間接話法で考えてみましょう。
1:彼はフランスへ行ったと言いました。
2:彼はフランスへ行くと言いました。
3:彼はフランスへ行っているだろうと言いました。
4:彼はフランスへ行くだろう(未来形)と言いました。
5:「僕はフランスへ行くつもりです(未来形)」と彼は言いました。
解答例
1:Il a dit qu’il était allé en France.
2:Il a dit qu’il allait en France.
3:Il a dit qu’il serait allé en France.
4:Il a dit qu’il irait en France.
5:Il a dit qu’il irait en France.
いかがでしたでしょうか?
未来に関することを述べた引用を過去にさかのぼらせると条件法という仮定な表現になるのは、未来はやはり仮定なんだなぁなどと思わせてもらえますね!
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