【ニースでのテロと注意方法】

2020年10月31日にフランス・ニースの大聖堂でイスラム教徒の過激派によるテロが起きました。

犠牲者の中の1人が自分の友人でした。

ショックの気持ちが収まらないので、ブログにも書いて考えをまとめようと思います。

 

僕の友人はSimone というブラジル出身の人で、僕がニースの大学院に通っていたときに取っていたクラスのクラスメイト。

Simoneが1人が来るだけでクラスがにぎやかになって笑いもどっかんどっかんというくらい快活朗らか。

 

自分の子供超ラブのような人でもあり、僕も偶然海で泳いでいるときに会ったことがあるのですが、女手1つで3人の子供を見るというたいへんな感じもするのにめっちゃ元気に楽しんでいました。

 

将来あれやこれややりたいから働いて勉強もしてる!と30代半ばの僕より結構上の年齢のSimoneが嬉しそうに語るのを見て、自分の年のことをなんだかんだで気にしていた僕は元気づけられたものです。

 

 

イスラム過激派の活発化

 

フランスでは10月16日に、中学校の教師であるサミュエル・パティ氏がイスラムの過激派によって斬首されるという事件が起きました。

犯人グループの犯行声明は、

 

パティさんが授業中にイスラム教の預言者であるムハンマドの風刺画を子供たちに見せたから、ということでした。

 

パティさんは風刺画を見せる前に、イスラム教徒の学生には不快であることを承知しているということで見たくない学生は教室からでてもよいという準備をしていたのですが、最終的には学生とその父親経由で犯人グループへとつながってしまい、殺されてしまいました。

 

その後、マクロン大統領が出したフランスのライシテの発展、フランスのお家芸でもある風刺画や劇画を守っていくという声明にトルコのエルドラン大統領を初めとしたイスラム教徒の多い国の一部が反発、フランス製品のボイコットなどを開始。

アジアでもマレーシアのマハティール元首相さえもが「イスラム教徒にはフランス人を殺す権利がある」などと発言。

 

ちなみにライシテとは、政権政策が特定宗教の影響を受けてはならないし、そのような状況を作るために能動的に動くという主義のことです。

 

フランスの風刺画といえば、僕もビゴーによる日本風刺画を小学校の歴史教科書で見て苦笑した記憶があります。

パティ教師が使った風刺画はCharlie hebdo(シェルリー・ヘブド)のものかと思います。

2015年にテロの被害を受けた新聞社で、社会批判や政権政策批判の風刺画がたくさん掲載されています。

もちろん、ムハンマドだけでなく、神様とやってるキリストの風刺画などもあります。

タブーなしの全方位。

 

 

コロナ禍によってテロは増える?

 

衣食住足りて礼節を知るというように、たいていの人は生活に困っておらず、心にわだかまりがなければ過激なことには走らないのではないでしょうか。

心にわだかまりがあっても、きちんとした生活が送れる状況にあるのならば、同じく過激なことには走らないと思います。

日本でも226事件の裏には東北などでの経済的困窮があったとされてますね。

 

フランスを初めヨーロッパはコロナ禍による国家的ロックダウンを経験し、経済的にもだいぶ疲弊していました。

元々高かった失業率もそこに追い打ちをかけたのかもしれません。

 

そして今週、再度ロックダウンが実地され、Twitterではそれに関連してフランスにいる中国人を攻撃する、というような文言さえも飛び交っています。

 

このように、経済的困窮に陥ると一部の人は過激なことをしたくなりだします。

ストレスの解消だったり、人の注意を引いて自分の窮状を知ってもらいたいからです。

そのため安定や成功している人を攻撃したり、社会システムを批判します。

そして後ろ盾が何もない状態になると、中には過激な行動を実際に起こす人も出てきます。

 

コロナ禍によって経済的困窮に陥ってしまった人が増えたことは、過激派になってしまうかもしれない一部の人たちの母数が増えた、ということを意味しているのかもしれません。

 

そのため、イスラムだけではなく、過激な事件は増えていくのではないかと考えます。

 

 

イスラム教徒の一部=過激派ではあるがイスラム教徒は過激派ではない

 

念のために書いておきますが、今回の事件を受けてもイスラム教徒の人を怖がる必要はないということです。。

僕も今回の事件を受けてニースにいるイスラム教徒でもある友人にメールをしましたが、特に恐怖はありませんし、むしろ被害を受けてないか聞きました。

 

たしかにイスラム教徒の一部には過激派もいるのですが、イスラム教徒とは別のグループにも過激派はいます。

 

たとえば日本人。

毎日起きているような感のある日本における殺人事件は、日本人によって起こされたものが多いです。

でも、それでいて日本人1億2000万人すべてが凶悪な犯罪者とは言えないし、僕たち個人個人も自分が凶悪な犯罪者だとは思っていないのではないでしょうか。

日本人という大枠の中の一部の人が起こしたものであるという認識があるからです。

それはイスラム教徒も同じ。

 

しかしその認識が自分のものでない場合(たとえばイスラム教徒でない人がイスラム教徒を見てイスラム教徒だと認識する場合)、往々にして『一部を全部』と思ってしまうことがあります。

 

そうしてその問題ある一部でない人さえにも恐怖してしまうのです。

 

 

テロから身を守る方法

 

テロは一般市民を狙って突発的に起こすものです。

そのため、すぐそばにテロリストがいた場合は絶望的な状況とも言えます。

それでも、

 

  • 人の集まる場所に長居しない
  • イヤホンなどで音楽を聴くときは外界の音にも注意を払えるボリュームで聞く
  • 何か異常を感じたら即座にその場を離れる(野次馬根性をださない)

 

などといったことで、身を守れる確率は上がります。

 

今回Simoneやほかの犠牲者がでてしまった場所はニースの大聖堂。

ニース駅から海までをつなぐメインストリートに面して人通りが多い場所です。

近くには洋服屋や僕もよく行っていたFNACやDIRTYがあり、人の群れが途切れることのないような場所です。

 

Simoneはファッションセンスとかも抜群だったので、ショッピングもかねてあのあたりにいたのかもしれません。

彼女の最期の言葉は「子供たちに愛していると伝えて」だったそうです。

 

 

 

Simoneとその他犠牲者にご冥福をお祈りいたします。

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